●ミッチーのラコステ●

[NPO用語大辞典] [NPO人名大辞典]

○第2回 54thよ永遠に…


先日、54thの先輩の引退式「54thと過ごすAfternoon Tea」が開催された。

これは今年初めて行われたものだ。と言うのも、提案者は我らが山田先生。
何人かの部員と山田先生とで行われた食事会の時に、山田先生がこんなことをおっしゃったらしい。
「レセプションの時、54期が引退するっていうのでしんみりしちゃうのは嫌だから、
レセプションはレセプションとして大騒ぎをして、後でまた別に引退式をやったらどうでしょう?」

この時、55thレク係はこの計画を極秘に進めるつもりだったらしいのだが、
次の全奏のときに山田先生がぽろっと部員全員の前で言ってしまったので、
その瞬間、音楽室に55thレク係の悲鳴がこだました。

とまあ紆余曲折を経て開催にこぎつけたわけだが、NPOの引退式である。当然ただの引退式ではない。
引退式じたいは秘密にできなかったものの、何とか54thの先輩方に見つからないよう、
極秘に準備を進めていった。

例えばプログラムの中に「出し物」というのがある。
式の時間の大半を占めるもので、要するに何人かでグループを組んで「何か」するのだ。
ここで、適当に何かをやって終わらせてしまおうと考える輩がまず55thには居ない。
だいたい、グループとは言っても弦と管打に分かれ、それぞれに工夫を凝らした出し物を考えるのだ。
以前、55thの仲間が転校してしまう時にお別れ会をやり、その時も準備期間は短かったが
それぞれ楽器演奏などで場を盛り上げた。

今回は、大人数による楽器演奏の出し物は無かったのだが、
こうさくはある先輩のリクエスト曲をピアノで演奏したし、かのミッチーもヴァイオリン独奏で
素晴らしい音色を聴かせてくれた。

そして、忘れてはならないのが、レク係による「レク文字」。
いわゆる「人文字」なのだが、出し物のトップバッターとして先輩への熱い思いを
55th全員を代表して表してくれた。

さて、弦のグループは楽器演奏でないなら何をやったかと言うと喜劇である。
まず司会のレク係が「次は弦の人達による『喜劇』です。」と言った途端に先輩方から笑いが零れた。
次に、1stヴァイオリンのイトーソー(♂)がシンデレラのみずぼらしい格好をして出てきた瞬間、
会場の音楽室は爆笑で揺れた。
ヴァイオリンを弾きながらため息をつくシンデレラ…ならぬ「ソウデレラ」。
物語は普通のシンデレラと同様に進行していくのだが、
継母役や意地悪な姉役の弦女子のハマりようや、ところどころにちりばめられた、
部員には大ウケの台詞に先輩方も残りの55thも息つく暇もなく笑わされた。

一方、管打のグループはというと合唱をした。
1曲目はゆずの「友達の唄」を歌ったのだが、導入になかなか気を遣った。
最初しばらくはツクシ氏のソロ(しかもアカペラ)。
どこからか何故かウクレレの音も聞こえ、そしてある歌詞が歌い終わったところで
音楽室に付いている様々なドアから何人も管打部員が出てくる。
手に手に持った打楽器(マラカスとか)を演奏しながら何人かでサビの合唱。
と、それが終わると、ティンパニのカバーが急に動き出し、驚く先輩方の前でティンパニのカバーを開けると、
中から残りの管打部員が出てくるという仕掛けであった。
こうして管打全員が揃ったところでもう一度サビを歌って1曲目終了。
2曲目は名曲「心の瞳」をしっとりと歌った。

出し物が終わった後は、55th全員による「呼びかけ」をした。
小中学校の卒業式でよくやるようなあれである。台本は例のごとくこにぃ。
そもそも、この「呼びかけ」という企画じたいかなりおもしろいものなのだが、
台本のおもしろさ、細かいところへのこだわりでさらに面白く、また更に先輩方の涙を誘うような内容となった。

そして、54thの先輩全員への感謝状授与。
ここで、55thがこっそり用意していたものの一つ、折り紙に書かれた一人一人の
先輩宛のメッセージ集が渡された。
ここで先輩方全員から一言ずつ話をしてもらったのだが、
これがまた一言ではすまないほど全ての先輩が語ってくださった。
それぞれの個性が強いNPOならではだが、今までの思いや、悩んだこと、
そういう話をみんながみんな同じようには決して話さないのだ。
どの先輩からの話も55th全員の心に残ったことと思う。
中でも「話し足りない」といっておかわりを申し出たO先輩は時間をかけてたっぷりと語ってくださった。
普段あまり喋る先輩ではなかったので余計に、その話は意外で、
そして私達に先輩の本当の姿を教えてくれた。
そして、実はスペシャルゲストとして式に参加していた山田先生からの言葉。
いつもより短めではあったが、相変わらずのその独特の口調で「大人の話」をしてくださった。

そして、本当に最後の最後。
下校時刻ギリギリではあったが「最後の全奏」と称して、先輩達の思い出の曲「新世界より」と、
54th・55th共通の思い出の曲「大学祝典序曲」を演奏した。
ここで、もう共に練習することは無いんだ、と涙ぐむ人達が多数現れ、一気にしんみりムードが漂った。
そして、レク係の「閉会宣言」で引退式は終了。

こうして、54thの先輩達は正式に引退された。
GWをはさんでいるため、まだ55thだけの活動は実質的に行っていないが、
きっと連休明けからどんどんと実感していくこととなるだろう。
先輩達はもうここには居ないのだ、と。
同じ学校内には確かに居る。けれど、先輩方はこれからそれぞれの進路に向かって歩もうとしているのだ。
たまに楽器庫に覗きに来てくださることはあっても、もう一緒に練習することはほぼ有り得ない…。
私達55thにできることと言ったら、先輩方から教わった、楽器の技術以外のことも含めて
様々な伝統を確実に56thに伝え、また新たなNPOを作り上げることであろう。
そうしてこそ、54thの先輩方が永遠に受け継がれるというもの。
偉大なる先輩達に、55th全員から改めて感謝の意を述べたいと思う。

「先輩。1年間、ありがとうございました。」

2001/05/04(fri) 文責:まっでぃー

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