●ミッチーのラコステ●

[NPO用語大辞典] [NPO人名大辞典]

○第4回 管弦部員ファッション考〜少女小説風味〜

その日ミッチーはレモン色のポロシャツを着ていた。
前日の雷雨がもたらした久しぶりの爽やかな天気を祝福するかのような華やかな彼の出で立ちは管弦部員の不快指数をさらに10%ばかり下げただろうって想像をめぐらすのはそんなに難しい仕事じゃなかった。
さらにコンマスである彼の隣に牡丹のように座っているゆかりん。彼女のこの日のヘヤースタイル−碧の黒髪が織り成す美しい三ツ編み−ときたら相対して座っていたかわいらしい帽子少女に「ゆかりんてエレガントだよね。」と呟かせずにはいられないぐらいだった。彼女、まさに清楚が服着て歩いているようなものだもの。(それにしてもこの帽子少女はいったいどういうわけで虫さされにあんな厳重な手当を施しているのかしら?それを考えると熱帯夜でもないのにどうかするとなかなか寝つけなかった。)
今度は指揮者を見てみよう。彼は一見白い半袖シャツを身にまとって、まさに夏全開の爽やかさ。でもその下には黒いシャツが、彼が指揮をする度に見えかくれしてる。
「なんてこと?!」
この事実に私は一人驚愕した。全ては低脂肪の成せる技なんだわ。そんな感慨につくづくとふけっていると指揮者が言う−「じゃあ次は管の人」−わたしはそちらに目をうつす。するとフルート少女のちさちゃんを視界にとらえることができた。彼女の藍色の絞り染めのTシャツ。私は記憶を掘り起こす。そうだあのとき彼女は確かに私に教えてくれたっけ、あの絞り染めが彼女自身の手によるものだってことを。楽譜の製本すらままならないわたしにとっちゃあそれだけでも尊敬に値するって言うのに、彼女ときたらもんじゃまで鮮やかに作ってみせた。フルートで綺麗な音を出すのも、シャツを渋く染めるのも、威勢良くもんじゃを作るのもみんな、あの同じたった十本の指の仕業なんて!彼女はきっとあの手の平のなかに箱庭のように小さい宇宙を持っているに違いない。
そしてまた池袋西武には私をそそのかす小人が4人くらいいるってことも動かしがたい事実だわ。あの日なぜ私は三菱銀行を探して池袋の街を疾走していたのか私自身今でもはっきり説明ができない。でもあのとき確かに私の中でひっそり息を殺していた物欲は突然炎の如く燃え上がって、もうどうにも止まらない状態になってしまったのだ。私の預金残高は近来稀に見る速さで減った。それを思うと胸が痛い。でも後悔はしない。それにあのごまパンはとてもおいしかったのだから。(内輪ネタにて終了)

2001/07/27(fri) 文責:さえちゃん

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